購入視聴したJ.S.バッハ関連のDVD紹介と感想録です。
〔柊評価〕は、無星が最低、☆☆☆☆☆の星五つが最高です。









邦題:『ブランデンブルグ協奏曲』
原題:Brandenburg Concertos
分類:コンサート
演奏:フライブルク・バロック・オーケストラ
    指揮=ゴットフリー・フォン・デア・ゴルツ
    収録=2000年3月 ケーテン城『鏡の間』
演目:ブランデンブルグ協奏曲 全曲 
    ビデオクリップ
    1.サラバンド 2.コーヒーカンタータ 
    3.Back in Castle Cothen
発売・販売:TDKコア
時間・画像・吹替等:108分・カラー・
    日本、英、独、仏、伊、西
価格:4,800円 (実売2,980円)
〔柊評価  ☆☆☆☆ - 〕

古楽器を使用した正統派の演奏といえます。録音場所がバッハが宮廷楽長を務めたケーテン城(鏡の間)で、当時の聴衆が耳にした音質はこういう感じだったのではないか、と思わせるものがあります。
私は過去に金管楽器の演奏をしていまして、この曲が金管の古楽器による演奏がとても難しい曲であるということをこの映像をみて初めて知りまして、これはCDでは分からないことでした。

演奏の合間を繋ぐケーテン城の風景も味がある感じで、演奏にもそういった細部にも不満を感じさせるものはなく優等生的仕上がりであると思います。

おまけが3曲ついてまして、演奏者による小芝居があったりしまして、初めてご覧になった方は、『これはこれは・・・(失笑』という気になるかも知れません。

本編の演奏は繰り返しの視聴に耐えられる品質と思います。

価格はCDに比べれば当然割高ですが、今年(2004)くらいからでしょうか今までは定価売りが標準でしたがかなり割引をして販売していますので、ご購入は割引のあるお店でどうぞ。

邦題:『クリスマス・オラトリオ BWV248』
原題:Christmas Oratorio BWV248
分類:コンサート
演奏:イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
    モンテヴェルディ合唱団
    指揮=ジョン・エリオット・ガーディナー
    収録=1999年12月 ワイマール、
    ヘルダー教会におけるライブ
演目:クリスマスオラトリオ 全曲
   付録
   ドキュメンタリー 『ガーディナーの
   バッハ・カンタータ巡礼』
   ドキュメンタリー 『ガーディナー・
   ザクセン・テューリンゲンにて』
発売・販売:TDKコア
時間・画像・吹替等:198分(2枚組)・カラー・
             日本、英、独、仏
価格:7,600円 (実売3,980円)
〔柊評価  ☆☆☆ - - 〕

2000年に指揮者のジョン・エリオット・ガードナーが現存するバッハのカンタータ198曲を全曲演奏するという前人未到の試みをしましたが、1999年12月に行われたその試み冒頭の演奏会記録です。

演奏場所は、バッハになにかと繋がりのあったワイマールのエルダー教会、しかも祭壇の下という趣のある映像です。
演奏も、企画や演奏スタイルと同様に正統派といえます。
『クリスマス・オラトリオ BWV248』は欧州ではポピュラー、日本でもバッハの声楽曲としては比較的知られている曲であると思いますので正統派の演奏は適切だと思います。

評価が☆三つに留まったのは、私が声楽曲がどちらかというと苦手という嗜好がありまして、その為のみで作品の品質自体は☆四つ以上だと思います。

日本語の対訳も比較的丁寧についていて、2枚組で少々長いですが、はじめて聴く方や私のように声楽曲はありま聴かないというような方にも興味を持って視聴できると思います、

おまけは、各1枚の収録末にガードナーの『バッハ巡礼』ともいうべきこの企画の舞台裏映像と、ガードナーのバッハに対する思いが語られる場面、バッハゆかりの地や教会等の映像があります。私としてはこのおまけは興味深く、特にガードナーが語るバッハについて、例えば、「バッハの音楽は一瞬の神聖をもたらす」、「バッハは政争の犠牲者である」というような独自の意見が記憶に留まりました。

邦題:『グレン・グールド エクスタシス』
監督: ジョスリン・バルナベ
出演: グレン・グールド/ウォルター・ホンバーガー
    /ユーディ・メニューイン/ブルーノ・
    モンサンジョン
ジャンル: 洋画ドキュメンタリー
発売日: 2003/10/24
制作年・制作国・色彩・時間:
    1995・カナダ・カラー・65
字幕: 日本語字幕
仏語:DD(ステレオ)/日本語:DD(ステレオ)
〔柊評価  ☆ - - - - 〕

バッハファン、特に器楽曲のファンであれば、グールドの演奏の賛否論議について誰しもが巻き込まれてしまうのではないでしょうか。
このVDVは、グールドのの作品、人生、思考に関して、彼の身近に居た音楽家、批評家、作曲家、映画監督達が回想するというドキュメンタリーの構成となっています。
グールドを論じるときに不可欠となる、例えば以下の疑問に分かりやすく簡潔に答えています。
 ・なぜ32歳の若さにして演奏会をドロップアウトしたのか。
 ・超人的速弾きテクニックと暗譜能力。
 ・離人症的性格と心を許した僅少な友人。
 ・生涯ホテル住まいをしたこと。
 ・世界に衝撃を与えた「ゴールドベルグ変奏曲」の演奏解釈。

バッハファンであれば一度は見ておきたい作品と思いますが、評価が『☆ひとつ』となったのは、演奏録音物としては全く楽しむべきところが無いというところです。
繰り返し観るという性質のものではないと思いますので、購入するよりは先ずはレンタルが適切かと思います。
バッハファンであれば、観て後悔はしないと思います。

邦題:『ミサ曲ロ短調 BWV232』
原題:h-Moll Messe BWV232
分類:コンサート
演奏:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
    聖トーマス教会合唱団
    指揮=ゲオルク・クリストフ・ビラー
    ソプラノ=ルース・ホルストン
    アルト-カウンターテナー=マティアス・
    レクスロート
    テノール=クリストフ・ゲンツ
    バス=クラウス・メルテンス
発売・販売:TDKコア
時間・画像・吹替等:114分・カラー・
         日本、羅、英、独、仏、伊、西
価格:4,800円 (2004年版卓上カレンダー付)
〔柊評価  ☆☆☆☆ - 〕

2000年7月28日、ライプツィヒの聖トマス教会で行われた記念演奏会の記録映像です。
ライプツィヒ市は毎年『バッハ・フェスト(バッハ祭)』を開催していますが、バッハ没後250周年に当たるこの年は例年にも増して盛大な催しが開かれ、そのクライマックスを飾ったのがこの演奏です。

演奏、映像共に素晴らしいものです。
発売元の『TDKコア梶xの商品を購入したのは2作目ですが、これで分かったのはこの会社の商品は音楽DVDとしてクオリティーの高いものであるということです。「このメーカーのものであれば安心して購入できる」という印象を持ちました。

評価が四星に止まったのは、
・私としては全編字幕訳詩を期待していたが、そうではなかったこと。
があります。
また、商品の責任ではありませんが、『ミサ曲ロ短調 BWV232』という曲自体が日本ではやはり一部の限られた愛好家だけのもので、一般の音楽愛好家が114分全編を通して視聴するにはかなりの忍耐と努力を強いられるであろうということです。「『第九』でも買えば良かったぁ」となりかねません。

但し、J.S.バッハ愛好家としては一見の価値があります。
演奏会場の聖トマス教会は、バッハが27年間カントルを務めた教会で、このDVDでの合唱団はバッハが指導した合唱団の末裔ということになります。
指揮者のゲオルク・クリストフ・ビラーも、J.S.バッハ以降の16代目のカントルということになります。カントルは指揮だけでなく時に自らの声で合唱をリードしたりして、「J.S.バッハもこんな仕事振りであったのだろうか」ということを彷彿とさせます。これはCDを聴くことでは持ち得なかった感慨です。

合唱を聴く際に私自身が気になるポイントに、“ソプラノの高音部の張り切りすぎが耳障り”“カウンターテナーの声質が肌に合わない”などがありますが、このDVDの演奏に限ってそういうことは感じませんでした。特にカウンターテナー=マティアス・レクスロートの歌声は、カウンターテナーの良さを再認識させてくれました。私としてはスラヴァ以来のことです。

ところで、『ミサ曲ロ短調 BWV232』には数々の謎があります。
例えば、
・ルータ派の聖トマス教会のカントルを務めるJ.S.バッハが、カトリックのラテン語ミサ曲を作ったこと。(誰かの依頼であった可能性はあるが)
・約2時間という上演時間は一般的なミサの役割を大幅に超えており、教会における演奏を前提にしいないと思われること。
・楽器、声楽編成にバラつきがあり、実際に纏めて演奏する際の演奏者への配慮を欠いていること。
・以上のような点から、J.S.バッハ自身も演奏される見込みがないと分かっていながら、これほどの大作を書き上げたと思われること。
などです。
現代では、『フーガの技法 BWV1080』同様に、“音楽的遺言”であったという説が有力ですが、本当にそうなんでしょうかね。
J.S.バッハ愛好家にとっては、こんなことを考えながら視聴することのできるDVDといえます。

収録された聖トマス教会の内陣には、J.S.バッハの墓があります。
DVDでは、↓こんな感じで献花されたバッハの墓の周りを取り囲むように客席が配置されています。

   ←クリックで拡大します。(新フレ 45.4KB)

「日本で聴くバッハとは、違うバッハだよなぁ」
という感慨を持ちました。
『ミサ曲ロ短調 BWV232』が好きで、CD等で時々聴いているような方にはとってもお薦めといえます。

邦題:『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』
原題:Chronik der Anna Magdalerna Bach
分類:映画
製作年月・製作国:1968年・ドイツ+イタリア合作
監督・脚本・編集:ダニエル・ユレイ、
           ジャン=マリー・ストロープ
キャスト:バッハ=グスタフ・レオンハルト
     マクダレーナ=クリスティアーネ・ラング
演奏:ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
     指揮=ニコラウス・アーノンクール
   バーゼル・スコラ・カントルム
     指揮=アウグスト・ヴェンツィンガー
   ノハーファー少年合唱団
     指揮=ハイン・ヘーニヒ
発売・販売:葛I伊国屋書店
時間・画像・吹替等:94分・モノクロ・ドイツ語
    (日本語字幕)
価格:4,800円
〔柊評価  ☆ - - - - 〕

J.S.バッハの2番目の妻、アンナ・マクダレーナ・バッハ(1701-1860)が、J.S.バッハの人生を回想するという映画です。
映画といっても演奏をマクダレーナ役のナレーションで繋いだだけで、残念ながらJ.S.バッハ・ファンであってもかなり退屈すると思います。
演奏は悪くないですが、なにぶん古い演奏であることとモノラルであることなど、特にお薦めというものでもありません。また、あくまでも映画なので演奏者も当時の衣装を着ていたりして、レコーディング物として視聴するのは違和感が否めません。

余談ですが、この映画の元ネタとなっている著書『アンナ・マクダレーナ・バッハの思い出』は、一般にはマクダレーナ本人が著したものと思われていますが、この著書は20世紀になってエスター・メイネルという女性がイギリスで発表した伝記小説です。同時期にドイツの出版社が、意図的にマクダレーナ本人が著したように翻訳出版したためにこの誤解が広がっています。ですから、歴史的価値は無いということになります。

話を戻して『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』ですが、監督・脚本・編集のダニエル・ユレイ、ジャン=マリー・ストロープは夫婦です。1958年のアルジェリア戦争の徴兵を忌避したストローブはユイレとともに西ドイツへ逃亡、59年に結婚。以後、短編を中心として「観客に対して集中と労力、知性を常に要求する難解な映画」の製作を続けます。『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』が初の長編映画で、これにより世界的に大きな評価を受けるようになりました。

この映画、「非常に退屈だ」という評価に変わりはありませんが、映画が作られた時代(1968)にあっては貴重な映像であったろうと思います。
また、J.S.バッハ・ファンであれば、「あの映画は、期待してたんだけど・・・ハハハ」という話題つくりのためにも一度は観ておきたいものです。
但し、購入の優先順位としては、かなり下位で良いのではないかと思います。

邦題:『音楽の捧げもの BWV1079』
原題:Musikaliches Opfer BWV1079
分類:コンサート+ドキュメンタリー
演奏:クイケン・アンサンブル
    ・バルトバ・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)
    ・シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)
    ・ヴィーラント・クイケン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
    ・ロベール・コーネン(チェンバロ)
    2000年7月28日ライプツィヒ旧市庁舎
    におけるライブ
発売・販売:TDKコア
時間・画像・吹替等:62分(コンサート:52分、
       ドキュメンタリー:10分)
       ・カラー・日本、独、仏、伊、西
価格:4,800円と記憶
〔柊評価  ☆☆☆☆ - 〕

2000年7月のライプツィヒ・バッハ・フエスティバルにおける室内演奏会の内、クイケン四重奏団の演奏を記録したものです。曲目は、『音楽の捧げもの』全曲です。
各パートで長年ソロ活動をするメンバーのアンサンブルは繰り返し聴いても飽きないレベルで、購入しようかどうか迷っている方にはお薦めです。

オマケのドキュメンタリーは『聖トマス教会の新オルガン』で、2000年に同教会でパイプ・オルガン更新工事があり、その苦労やコダワリが記録されています。
ライプツィヒ聖トマス教会は、J.S.バッハが1723年5月から没年1750までの27年間カントルの職を務めた教会です。現代の教会の内部を見られることは興味深い思いがしましたが、まぁオマケのレベルを出ていないのは致し方ないでしょう。

余談ですが、チェンバロ独奏の時間が結構多いですが、その時の他のパートの人たちの手持ち無沙汰が気になりました。これはCDを聴くことでは感じなかったことです。

商品そのものは、録音も邦訳も解説もとても丁寧に作られたという好印象があります。
価格は忘れてしまいました(商品に定価記載なし)が、5,000円以内であったと思います。

邦題:『トッカータとフーガ〜バッハ:オルガン・スペクタキュラー』
原題:J.S.BACH:ORGAN SPECTACULAR
分類:DVDオーディオ・スタジオ録音
     オランダ、レーウヴァルデン大教会
     オルガン:クリスティアン・ミュラー作
     1724〜27年
演奏:トン・コープマン(オルガン)
    2000年2月録音
価格:3,500円
〔柊評価  ☆☆☆ - - 〕

DVDオーディオ*1なので、動画はありません。
演奏中は、録音会場であるレーウヴァルデン大教会の内部(ジャケット写真参照)と推定されるの静止画像です。
私のように“DVD(ビデオ)“と“DVDオーディオ”の区別がつかずに、演奏シーンなどの動画を期待して購入すると、
「なんだこれ?  動画がないじゃん」
と完璧に裏切られますので充分ご注意下さい。

演奏は数々の国際賞を受賞したコープマンであり、音質もDVDオーディオですから最高です。

曲目は下記です。
  01.トッカータとフーガ ニ短調 BWV565 7:39
  02.コラール《天にまします われらの父よ》 BWV682 8:52
  03.フーガ ト短調 BWV578 3:34
  04.コラール《目覚めよ、と われらに呼ばわる物見らの声》
    BWV645 3:59
  05.コラール《いざ来ませ、異邦人の救い主》 BWV659 5:10
    プレリュードとフーガ 変ホ長調 BWV552-
    《クラヴィーア練習曲集 第3部》から
  06.Prelude 8:24
  07.Fugue 5:57
    トリオ・ソナタ ト長調 BWV530
  08.Vivace 3:51
  09.Lento 6:18
  10.Allegro 3:29
  11.パッサカリア(とフーガ) ハ短調 BWV582 14:30

コープマンのアルバムが付いていますが、これも動画ではなく“写真”です。
これには音声もなく写真の下余白に1〜2行程度の文字による解説があるだけで、しかも翻訳は、英・独・仏で、日本語はありません。付属の邦訳解説書もプアーな印象で、外国語が分からないとこの部分は楽しめないということになります。
また、ドイツ語での宣伝(他のDVD)がひとつのコンテンツとなっていたりして、日本人視聴者にとっては非常に不親切な商品であると言えます。
さらには、日本の販売会社も不明で、少々怪しいDVDです。

〔柊評価  ☆☆☆ - - 〕としましたが、これは私が勝手にDVD(ビデオ)だと思って演奏シーンを期待して買ったがために期待はずれの感じがしただけで、初めからDVDオーディオと分かっていれば四星であろうと思います。
ただし、私はDVDオーディオには興味がなく、今後ここではDVDビデオのみを扱うものとしました。そうした授業料を払ったようなDVDでした。


*1 DVDオーディオ
映画などのDVDビデオ同様、マルチチャンネルによるサラウンド音声が収録できる。しかも、その音質はDVDビデオと一線を画する高音質。CDと同じ12cmの光ディスクだが、CDの約7倍(片面1層)という記憶容量を持っている。この膨大な容量は、高音質化にも、長時間記録にも、マルチチャンネル化にも向けることができる。
クラシックなどでは自然な残響音や、ポヒュラー音楽ではバンドに囲まれて一緒にステージに立っているようなアレンジなど様々な音楽表現が可能。
DVDオーディオを前提に制作された新譜だけではなく「名盤」の数々も、オリジナルのマルチトラック・マスターから新たにサラウンド・ミックスを行うことにより、これまで2チャンネルに詰め込まれていた音が開放され、心地よい空間の広がりとともに聴き取りにくかった楽器の音がはっきり聴こえるなど、まったく新しいものに生まれ変わる。
音楽以外に、歌詞やアーティスト写真といった静止画、ビデオクリップ、インタビュー・ビデオなどの動画も収録できるが、あくまで音楽を聴くためのDVDなので、DVDビデオのように全編に渡って動画が収録されていることはない。
DVDオーディオは、DVDオーディオ対応プレイヤーのみで再生が可能で、 通常のDVDビデオプレイヤー(VP)では再生できない。